お墓の再研磨や外柵リフォームで、40数年前のお墓を将来に残すご提案。深川市営深川西墓地

深川・北空知、旭川を中心に、お墓や石材のお仕事をさせていただいております、マル安三上石材の三上です。深川市営深川西墓地にて、40数年前に建立させていただいたお墓のリフォーム工事を行いましたので、ご紹介します!

 

【深川市営深川西墓地 回忌に向けた再建(墓石研磨・外柵リフォーム)】

 

深川西墓地にて、昔からお世話になっているお客様より、お墓のリフォームをご相談いただきました。さっそくお墓の確認に向かいます。

 

こちらがご相談のお墓です。近々施主様のお母様の50回忌を迎えるそうなのですが、歳月とともにところどころの痛みも見られるようになり、今後の管理のことなども気になる点が出てきたということでした。年忌の節目ということもあって、この機会にリフォームしようと検討されていました。

 

こちらのお墓は、昭和53年に先代の父が建てさせていただいたお墓です。福島県産の川前石という石で、もう採掘はされていない貴重な石です。お客様はリフォームにあたり、すべて取りこわして新しく作ることも考えておられましたが、硬くて艶持ちも良い良質の石で作られていること、研磨すれば建立当時に負けないほどきれいになることをお伝えしました。「ピカピカになりますよ!」というご提案に、お客様も磨き直してお墓を残す方向で検討してくださることになりました。

 

門柱の石はまだ十分にきれいですが、お墓を囲むブロック柵はずいぶん古くなっているのが分かります。敷地面積の広いお墓で石の囲いをすべて石で作ると大量の石が必要になりますので、この当時はこうしたブロックの柵を使用したお墓がたくさん作られました。ただ、コンクリート製のブロックですから、表面はどうしても風化してしまいます。中にはひび割れたりすることもありますが、お客様のお墓は割れているところもなく、基礎もしっかり打ってあるようでした。そこで、この囲いも利用してリフォームすることをご提案しました。

ほかにも、雑草がたくさん生えてくることや、建立当時は一般的だったお墓も、周りに新しいお墓も増えてきたことで少し低く感じられることも気になっておられました。その後お施主様とお話をした結果、最終的に今回のリフォームのご提案としては以下のことを中心に進めることになりました。

●お墓本体は再研磨して、30cmほどの高さの台座を作成してその上に設置
●ブロック柵は、劣化の目立つ天端面(上面)に、ブロックの保護として石貼り積みを行う
●土間部分コンクリートスラブ打設。床面は、ご予算と照らしながらスッキリとシンプルな石貼り施工

他にも、50回忌という節目でもあり、故人様を偲びやすいように対面ベンチ設置すること、納骨されている方のお名前を彫刻する墓誌銘もご提案しました。

 

弊社では、オリジナルの「ポリシングミックスGC」というシステムで、お墓をきれいに再研磨しています。「グロスチェッカー」というツヤ度を測定できる機械で、数値としてお墓のツヤを確認しながら研磨を行うものです。こちらは再研磨前のお墓で、数値は「57.6」となっています。ツヤと数値の関係を分かりやすく言うと、ツルツルの鏡が「100」となります。

 

こちらも研磨前です。先ほどより下の台石で、「44.8」となっています。お墓も場所によってツヤ度は違っています。お墓を解体して工場へ持ち帰り、再研磨を行います。

 

工場での作業の様子です。これから部位ごとに研磨を進めます。

 

専用の機械で磨き直します。表面をほんの数ミリ削り落とすことで、本来の石肌や色合いを取り戻すことができます。

 

こちらは現地での工事の様子です。雑草が生えないように、コンクリートを打設するところです。パイプは水抜きのためのもので、数か所設けました。

 

基礎土間コンクリートが完成です。雑草が生えないだけでなく、全体的に底上げをしたことでブロック柵の補強にもなっています。

 

石貼り施工中の様子です。高さを出すための30cmほどの台座を作成してお墓を設置、お墓の手前側と、この台座部分も石貼りをして仕上げます。劣化の目立っていたブロック柵の天端面には、石貼り積みも完了しました。

 

工場で磨き直したお墓を設置し、墓誌やベンチを設置したら完成です!

石貼りの周りは砂利敷としました。全面石貼りが理想的でしたが、ご予算との兼ね合いを考えて参道やお墓周りのみ石貼りとしています。

 

磨き直したお墓本体です。台座の上に再設置して、高さも十分です。彫刻の色もきれいに入れ直し、目地もしっかり打ち直しました。

 

再研磨前「57.6」だった数値は、研磨後「97.8」となっています!! 段階を踏んで何度も磨き直しを行いますが、その都度数値を測り、最終的にツヤ度が90を超えることを目標に、確認しながら進めています。

 

研磨前、「44.8」だった場所も、「95.8」となっています。ツヤが戻ると石本来の色合いや石目もきれいに見えるようになり、まるで新品のお墓のような美しさです^^

 

ブロック柵の笠石はこのような仕上がりです。ブロック表面の保護だけでなく、ガサガサしてひっかかることもないので安全でもありますね。

 

床面の石貼りです。入り口からお墓の前まで、スッキリとしたシンプルな仕上がりです。お墓の前に設置した対面ベンチで、50回忌を迎えるお母様のことをゆっくり偲んでいただけるとうれしいですね。

 

墓誌銘もお墓の石と同系色の石で製作して奥に設置しました。すべて新しく作り直すことも可能でしたが、ご提案によって大切にお参りされてきたお墓を残すことができ、お施主様やご家族様にも大変喜んでいただけました。また、これだけの広いお墓ですから、全体を新しくするとなると費用面でもご負担が大きくなりますが、可能な限りお墓そのものを活かしたご提案で、予想されていたよりもずいぶん抑えられた点も喜んでいただけました。

今回のお墓は、40数年前、まだお若い時に施主様ご自身で建てられたお墓でした。お客様が当初おっしゃっていたように、すべてを新しく作り直すことももちろん可能でした。ですが、当時施主様が苦労して建てられ、40数年ずっと大切にお参りされてきたお墓を磨き直して残すことで、お墓に込められた想いも一緒に将来に残すことができたのではないでしょうか。お客様も、リフォームの終わったお墓を前に、とても感慨深いご様子でした。専門的な立場からお客様の思ってもみなかった方法をご提案して喜んでいただき、次の世代に引き継ぐことができたこと、先代の父が建立を、今回私がリフォームを親子2代でお手伝いさせいただいたこと、石屋冥利に尽きる思い出に残るお仕事になりました。ありがとうございました。

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