深川市内の神社様にて、ひび割れた鳥居の修復工事。既存の部分を活かした、宮城県産稲井石の鳥居

深川・北空知、旭川を中心に、お墓や石材のお仕事をさせていただいております、マル安三上石材の三上です。深川市内の神社様にて、鳥居の修復をさせていただいた様子をご紹介いたします!

 

 

深川市内の神社様 鳥居の修復 宮城県産稲井石

 

以前からお世話になっている地元の神社様より、鳥居の修復のご相談をいただきました。鳥居がひび割れしているのでみてほしいというご相談でした。

 

こちらがその鳥居です。宮城県産の稲井石で作られています。仙台石ともよばれ、少し青味のある重厚感のある石です。印の箇所、鳥居の笠の下の部分「貫(ぬき)」の中央がひび割れてしまっていました。凍結が原因と考えられます。宮司様は、「お参りされる方に万一のことがあってはいけない」と心配しておられました。

策として、鳥居をすべて建て替える方法もありますが、100年以上地域を見守ってきた鳥居を残したいということで、建て替えではなく修復する方向でお話をしました。修復の方法としては、ひび割れた貫部分のみを交換することになります。通常は、同じ石種もしくは同じような石で1本の長い貫を作り直して交換します。ただ、同じような石で作っても他の部分とどうしても違和感が出てしまうので、できれば同じ石を使用することが望ましいのですが、同じ稲井石で1本ものの貫を用意するのは費用もかなりかかることがわかりました。急遽必要になった修復でしたのでご予算もあまりかけられないということで、安全に修復し、かつ同じ稲井石で作成する方法を考えることになりました。

 

石の加工が始まっています。様々なご事情を考慮して、今回は弊社にあった寸法の短い稲井石を加工して使用することになりました。貫の中でもひび割れのない部分、左右の両端はまだ使用できる状態でしたのでカットして残し、弊社で加工した稲井石と連結して固定します。

連結する部分に合わせて、縦に長い楕円の柱状に加工しています。貫は全長で3,7mあり、残す両端がそれぞれ70cm、この加工部分だけでも2m30cmあります!

加工が終わると、その両端を残した部分と連結します。ホゾ穴を彫って組み合わせ、中にはさらに鉄の棒を入れてがっちり連結しました。もし今後万一ひびが入ってしまうと連結している石も割れてしまうので、ホゾだけに頼らず鉄の棒を入れて強固に連結しました。細部は手加工で違和感のないように仕上げます。

 

取り付けが始まりました。柱の差込口に貫を差し込んで取り付けます。表面はビシャンといって、石の表面をたたいて自然な風合いを出す仕上げをしています。手加工でしかできない、味わいのある仕上がりです。

 

完成後の写真です。こんなふうに雨で濡れると、笠や柱と全く違和感がないですね! これも、同じ石で作っているからこそです。

宮司様は、「こういうやり方もあるんだね」と感心されると同時に、歴史のある鳥居を残し、同じ石で修復できたことにとてもご満足いただけました。弊社の職人たちの手加工での丁寧な仕上げで、歴史ある鳥居とも違和感のない修復が完了し、喜んでいただくことができました^^

今回は、いつもお世話になっている神社様からのご相談でした。創業以来100年以上地域でお仕事をさせていただいている弊社としても、長く地域を見守ってきた、歴史ある鳥居の修復に携わることができて光栄でした。今後とも、地域の皆様のお役に立てる石材店として精進してまいります。